著作権 と 映画監督

映画監督って何だ!
脚本・監督:伊藤俊也
製作:協同組合日本映画監督協会
2006年/日本/88分
©伊藤俊也 (←ここ注目)

メイキングが無料で観れるということでしたが、休日中にそれを観るためだけに名古屋まで行くのも億劫になったので結局観ないことに。金土日の19時半から上映って、時間的にどうよ?


映画監督って何だ!
何でしょう?


「監督は映画の著作権者である」
だそうですよ。
つまんね。


“?”じゃなくて“!”だし、そういうプロパガンダ作品ってことは分かっていたので、そのあたりのことはどうでもいいんですが、金銭を徴収して見せるのならもう少し面白い作品に仕上げてほしかったものです。
映画監督が出演者としてスクリーンの上で慣れない演技をしているところを楽しんで観れる人もいるのでしょうが、わたしゃそんな学芸会はどうでもいいのですよ。

  1. 映画の著作権を時代劇に喩えた劇
  2. 映画の著作権についての国会審議の再現ドラマ
  3. 五所監督『煙突の見える場所』のパロディ3作
  4. 監督へのインタビュー

みたいな構成でして、ときどき小泉今日子成田裕介という映画監督が出てきてはちゃちゃを入れるわけです。
何で監督じゃなくて製作会社に著作権があるんだー、って。


しかしまぁ、これだけやって結局何を主張したいのかがよく分からない。
いや、「監督は映画の著作権者である」ということを言いたいんだろうけど、納得できるような説明は無かったですよ?
監督主導の製作会社を興して、従来の製作会社に配給を頼むような契約をかわせばよくない?
そんなに著作権を確保したかったら自分で金を集めて撮りたいものを撮ったら?
他人の集めた金で撮った作品だが俺のものだ、って製作会社と同等のリスクを負う覚悟はあるの?
とかいう疑問ばかりが沸き起こりました。


伊藤俊也監督が上映後のトークで、若い有名な監督が日本映画監督協会に入っていないことについてどうするかが協会の今後の問題、という話がありましたが、その事実が象徴しているんじゃないのかと。
自主制作などを多々経験して、金を集めることから始めたり会社を立ち上げているような若い監督たちが、なんだかまどろっこしいことをやっている協会にあまり興味を感じていないのではないのかと想像しました。
で、どんな監督が協会員じゃないんだろうとウェブサイトの会員名鑑をチェックしてみたんですが、調整中でした。あらあら。
日本映画監督協会 – Directors Guild of Japan


だいたい、「映画の著作権は製作会社だけでなく監督にもあるんだ」と言いたいのか、「映画の著作権は製作会社にはなく監督にだけあるんだ」と言いたいのかどっちよ?
この2つはかなり違うと思うんだけども。そして脚本家はどうなるの? 監督以外に製作総指揮とか総監督とか演出とかいる場合もあるじゃん。どうなんだろうか。


時代劇もよく分からないし、再現ドラマもホントにただの審議の再現なので、もっと注目すべき発言とか噛み砕いた説明をしてくれないと、何を問題としたいのかよく分かんないですよ。結局、わたしゃ映画を消費するだけの立場なので誰に著作権があろうと関係ないや、という感想になってしまいましたね。悪いけど。
いや、下手に監督に著作権を渡したばっかりに劇場公開後にお蔵入りとなってしまうような作品が出ないためにも、お金のことしか考えていない製作会社に著作権があった方がある意味健全なんじゃないかと考えてみたりも。


あと、著作権とかいうより、特許に話が似ているんじゃないかと思いました。青色LEDの訴訟とかね。
発明・特許に関する報酬はどう変わる?
こういう方向で解決を図ったら? それが嫌だったら、自分で権利をはっきりさせてから作品を作れと。筒井康隆みたいにね。
断筆解除をめぐる資料


ほかに、クラシック音楽の音源には指揮者に著作権があるの? とか、海外古典文学の翻訳文には翻訳者に著作権があるの? とか思いましたが、実際のところどうなんだろう。人力検索に頼ってみようかしら。

本の方はもう少し「映画監督って何?」って感じ。