ファッション と パッション

なんか人が多いなぁと思ったら映画の日か。

プラダを着た悪魔
監督:デヴィッド・フランケル
原作:ローレン・ワイズバーガー
出演:メリル・ストリープ
   アン・ハサウェイ
   スタンリー・トゥッチ 他
2006年/アメリカ/110分

「仕事と私、どっちが大切なの?」とか変なことを言い出す女に見せてやりたい映画だな、と思いながら観ていたんですが、あーなんだ、結局そういところに落とすのか。
そりゃまあ有能な彼女ならどこでも通用するわな、うん。

ということで、他人に認められるほどの能力がある人は思い通りの人生を手に入れる能力も持っている、ということだね。


という感想の『プラダを着た悪魔』を観た。予告編を観たときの想像通り、軽快で楽しい作品でした。ミランダがカッコいいよ。
思っていたほど理不尽な感じではなく、とても人間的に描かれていたメリル・ストリープが演じるカリスマ鬼編集長のミランダが抜群。けっこう愛嬌もあるし。


そして多くの人が自分を重ねるであろうキャラクターである主人公のアンディにてんで共感できなかったんですよ。
スタンリー・トゥッチに「グチを並べてる暇があったら努力しろ」としかられてから主人公が変わっていく、という展開は予告から分かっていたんですが、最初は頭でっかちの優等生。そして仕事ができる優等生。最後は夢がかなった優等生。明朗快活で性格も良さそう。つかえねぇ奴だなこいつはこりゃダメだ、でもこれがどう変わるのかなと楽しみにしていたら変身はあっという間。なんじゃこいつは、とひがみ根性が炸裂しましたよ、わたしゃ。

もういくら技巧を凝らしても素材の素晴らしさには敵わないんじゃないかという美味しんぼ的な絶望感を得られる作品です、これは。エミリーをもうちょっと共感の持てるキャラクターにしてやれよ、可哀そうに。わたしたちはアンディじゃなくてエミリーでしょ?


そこまでいじける必要もないですけど、作品はテンポもよく煌びやかでいい感じ。タイトルで“プラダ”というブランド名がどかんと入っているわりには、登場人物たちが身に着けているのはいろいろなブランドの衣装。そのあたりもいい感じ。
ファッション業界以外の登場人物たちは微妙。そして、ちょっといい人すぎたかな、ミランダが。加減が難しいんだろうなと思いますが。


情熱を持った誰かによって流行は作られていくということで。
見出しを書いて奇面組であったネタを思い出した。