死神 と 人間

デスノート the Last name』
監督:金子修介
原作:大場つぐみ小畑健
出演:藤原竜也
   松山ケンイチ
   戸田恵梨香 他
2006年/日本/140分

デスノート』前編を観る前にコミックのほうを読んでおこうと思い、ひとまず半分の6巻まで購入。つまりは全然『DEATH NOTE』の内容を知らなかったんですね。せいぜい映画の予告で得た程度の知識でした。

話題の作品だったんですが、時機を逸すると次の機会まで手をつける気が無くなってしまうという自分の性格。『ヒカルの碁』は最初っから読んでたんだけど、なぜか読もうと思わなかったんだよな、これ。
ちなみに今、次の機会を待っているのは『おおきく振りかぶって』。友人にもすすめられているんだけどね。


ダラダラしていたら公開終了が近づいてきたので、結局コミックを読まず慌てて映画を観にいったのが前回。今度こそはと残りの6冊を買い12巻揃えて挑んだものの、まぁいいか原作を知らないまま映画を観てしまおう、と『デスノート the Last name』を。


これは面白い。
前作のラストでもう1冊のデスノートが落ちてきたときに、なんだそのテコ入れは、そんなの無くたっていくらでも面白く出来るだろう、と不満が残ったものですが、なるほど。面白かったですよ。死神も増えるとは。
ていうか前作もなめてかかっていったんで、面白くてやられたなぁと思ったんですが。


個人的には、後から考えてみると、っていうのは基本的に映画の評価に影響しません。観ている間が楽しければ無問題。だから娯楽作品にテンポ、勢いってのは大事だと思っていますよ。
要するにこの程度のおかしさは問題ないということ。


映画を観た後、原作全12巻を一気読み。プラス13巻目をななめ読み。
いやぁ映画巧かったんだなぁ。改めていい出来だったなと。ていうか2巻くらいで映画の前編のほとんどを消化してしまったんで驚きましたよ。後どうなるんだって、もうドキドキ。
2冊目のデスノートの存在がずっと大きいのね、なるほど。ああ、7巻でガラッと変わるんだ。知らなかったよ。そんな展開だったんだ、原作。人間って面白! 正直フタバグループ関連は無くてもいいと思いましたが、それは映画を先に観てしまったからかも。
でも、なんか先に映画を観て良かったんじゃないかと思いました。


とにかく映画は構成が巧い。原作の要素を残しながらも違う作品に仕上げている。前編のクライマックスなんかは上手すぎるよ。特に香椎由宇が演じた月の彼女の存在は素晴らしいね。原作から格段に短くなった物語に説得力を与えていて。彼女の存在は見事。
それに比べると後編の片瀬那奈が演じたキャスターはちょっと惜しい。映画化にあたって巧く変化させたキャラクターではあるんだけど、海砂と並べると同じような軽率さが目立ってしまったかな。女はやっぱりダメだな、とか思っちゃいましたよ。ったくてめぇのことばかり考えやがって、って。


というわけで、後から読んだ原作の感想などを続けて。
第2部というのか、対ニア・メロ編? やっぱ蛇足という感じは拭えない。親父が死神の眼を得るのは無いだろう、とかね。特にジェバンニが頑張った、ってのは興ざめでしたよ。流石にあれは無い。もっと言えばメロ邪魔。
でもまぁ楽しく読んだんですけどね。大統領が死んだり、しっかり世界レベルの出来事だと意識した展開はいい感じ。週刊で一話一話じっくり読んでいた人はどうだったんだろうか、とは思いましたが。


自分だったら映画のラストは余命が半分の半分になった海砂を殺して終わるけどなぁ。
後から読んだ原作でも余命が半分になるというネタが生きてこなかったのが残念。ていうか原作を知っていたら、余計に海砂を殺してたな。
あと普通に漫画のラストは海砂だと思ったんですが、違うみたいですね。ならしっかり描き別けろよ。


あと、漫画を読んだとき、イエローキャブの前社長に見えて仕方が無いお父さんでしたが、鹿賀丈史はかっこいいなぁ。うん。
それとレムの声が池畑慎之介で、漫画で雌とかいてあったのには笑ったです。


“L”が主人公のスピンオフが決定したみたいですが、後編のパンフレットでプロデューサーが「しかし、デスノート事件以前にも当然Lは活躍しているわけで…」と述べていたのでそんなに驚きもなかったんですが。
まぁ、ひとまず失敗しそう。

http://cinematoday.jp/page/N0009535


そいうえば前編のパンフレットでは西尾維新が寄稿していたので、興味ある方は読んでみてくださいな。あの薄くて高い小説は読んだほうがいいのかなぁ……。

DEATH NOTE』1巻

DEATH NOTE』13巻
13巻となってるけど、別冊付録みたいなもの。