戦争 と 敵味方
『トンマッコルへようこそ』 原作・脚本:チャン・ジン 監督・脚本:パク・クァンヒョン 音楽:久石譲 2005年/韓国/132分
ちょっと前に『トンマッコルへようこそ』という韓国映画を観ました。
朝鮮戦争が激化している時、戦争のことなんか何も知らない山奥の平和な村で韓国軍の2人と人民軍(北朝鮮の)の3人が鉢合わせてさぁ大変。その村にはアメリカ兵のパイロットが1人いるわけですが、彼はあまり役に立たない。
そんな平和な村の雰囲気に兵士たちは感化されて行くわけですよ。
ファンタジックな画と音楽がイイ感じ。
それなりに面白かったんですが、しかしやっぱり韓国映画だなぁ、という感想。
なんでこれを普通にハートフルなコメディに仕上げられないんだろうという疑問。少なくともラストがあれなら最初の血しぶく戦闘シーンなんか必要無いし、オープニングがあれならもっとハッピーでもいいんじゃないの? どうしてこう人を死なせたがるのか。感動できないの? 誰か死なないと。
おまけに先に『天軍』観てたから余計にそう感じたのかも。ストーリーの組み立てが似てるから。何故か『七人の侍』みたいになっちゃうところとかね。
あれも韓国兵と北朝鮮兵がなかなか馴染まなかったんですよ。両作品ともコメディタッチで描いてはいるんですが、対立がクドい。
そんな『トンマッコルへようこそ』と『天軍』を観て思ったことは、韓国人は絶対に半島が統一されるなんてことはありえないと考えているに違いない、ということ。
あんなありえない状況におかれてもなかなか分かり合えない人たちが、現実に分かり合えることなんか無理でしょう、やっぱり。日本人としては、半島の人たちはもうそういうもんなんだと考えを改めないといけないんじゃないかとさえ思います。
今年はこんな戦地なんかで敵兵同士が和む作品がいくつか公開されまして。
『戦場のアリア』は第一次大戦時のフランスで連合軍(フランスとイギリス)とドイツ軍が睨み合う中クリスマスを迎える話。
『ククーシュカ』は第二次大戦時、ラップランドにて死にかけたロシア兵とフィンランド兵(ドイツと同盟を組んでいた)が一人住まいの現地女性に助けられてしばらく3人一緒に生活する話。
あとまぁ、『バルトの楽園』も似たような話に含めてもいいかな。第一次大戦時、日本は徳島でのドイツ人捕虜と収容所員や住民たちとの交流を描いた話。
その中で『トンマッコルへようこそ』での敵兵同士が馴染むまでが一番長かったんじゃないかと。観ていて、いつまでいがみあっとんねん、とつっこみたくなったほど。
その状況自体がギャグなのかとも思いましたが、じっさい韓国の人はどう見ているんだろうか。
『戦場のアリア』、『ククーシュカ』、『バルトの楽園』は「人間話せば分かり合える」という考えが基本なのに対して、韓国のはきっと「分かり合えないから話す必要が無い」という考えが基本スタンスなのではないかと想像しました。
それだと殻を破るのはなかなか難しい。
そんなことを考えていたので、実はまったく感動しなかったんですが、いろいろ面白い作品でしたよ。
『バルトの楽園』ちょっと美談過ぎてどうかなと。そう思ってしまうのは自虐的な日本人だからかも。